解放




あの狭い世界の中で
自分を抑圧するものたちに囲まれながら
見えない手枷を外そうと
必死に足掻いた

堂々巡りの日々が通り過ぎ
やっと終点を迎える

ひとひら ひとひら
風がさらってゆく

涙は流さない

なぜこんなに淋しいのか
なぜこんなに切ないのか
なぜこんなに狂おしいのか

箱庭の中で
繰り返される喜劇と悲劇

舞台に引っぱり出される僕と
舞台を賞味する君と
何が違ったのかさえ
もう考える必要はない

ひとひら ひとひら
青空にとけてゆく



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